死亡事故の損害賠償額の相場
死亡事故の損害賠償額
交通事故の被害者が亡くなられた死亡事故の場合は、その被害者の相続人が被害者本人の損害賠償請求権を相続しす。ここにいう相続人というのは、被害者のお子様、お子様がいらっしゃらないときは父母、父母もいらっしゃらないときは祖父母さらに兄弟姉妹となります。なお、配偶者は常に相続人になります。
ご家族の方が死亡事故でお亡くなりになった場合に、誰に対して、どのように損害の賠償を請求すれば良いのか等、わからないことがあれば、弁護士の無料相談をご利用ください。相談は何度でも無料です。
なお、死亡事故の場合、ご遺族の方は次のような賠償金を請求することができます。
逸失利益
死亡事故の際の逸失利益は、その死亡事故に遭わなければ本来得られるはずだった収入として計算されます。
例えば、年収400万円の人が、死亡事故がなければあと20年は働けるはずだったという場合は、まずは逸失利益(損失)は8000万円と計算されます。ただ、一括して支払いを受ける分、金利分が控除されます。また、死亡事故により、生存していれば費やしたはずの生活費が発生しなくなるので、生活費相当額も控除されます。
慰謝料
弁護士会基準によれば、死亡事故の場合の慰謝料は、以下のように定められています。なお、この基準額は、事故で死亡した人1名の基準値であり、遺族固有の慰謝料も含まれています。
- 一家の支柱(死亡事故の被害者が属する世帯が、主に死亡者の収入によって維持されているケース)が死亡した場合:2600~3000万円
- 一家の支柱に準ずる方(養育を要する子を持つ母親、家事の中心の主婦、独身者であって高齢な父母や幼い兄弟を扶養したり仕送りをしている方など)が死亡した場合:2300~2600万円
- その他の方が死亡した場合:2000~2400万円
任意保険基準は、保険会社によって内容が異なりますが、概ね、以下のように定められています。
- 一家の支柱(死亡事故の被害者が属する世帯が、主に死亡者の収入によって維持されているケース)が死亡した場合: 1500万円~2000万円
- 高齢者(65歳以上)が死亡した場合:1200~1500万円
- 上記以外の18歳以上の方が死亡した場合: 1100~1400万円
- 18歳未満の幼児・児童・学生が死亡した場合: 1300~1600万円
自賠責保険基準による死亡事故の慰謝料は、死亡した被害者本人の慰謝料が350万円とされています。遺族として死亡事故の慰謝料を請求できるのは、被害者の父母、配偶者及び子供です。死亡事故の慰謝料の額は、請求権者の数に応じて、定められています。
- 1人なら550万円
- 2人なら650万円
- 3人以上なら750万円
死亡者に被扶養者がいる場合は、この金額に200万円が加わります。
その他の賠償金(葬儀費用など)
死亡事故の賠償金については、葬儀費用など、現実に支出した金額のうち、130~170万円の範囲で損害賠償が認められています。ただ、死亡事故に際して負担した費用の全額の損害賠償が認められるわけではなく、社会通念上相当と認められる金額に限られます。
なお、生命保険金については、判例は、すでに払い込んだ保険料の対価としての性質を有し、もともと事故とは関係なく支払われるべきものであるから、損益相殺の対象とならず、損害賠償額から差し引かれないとされています。
また、死亡事故の場合、あるいは、事故により後遺症が残った場合、被害者は、その後得られたはずの収入を得られなくなる一方、その後納付すべきであったはずの所得税を納付する必要がなくなりますが、このような将来の所得税を納めなくてよいという利益は、損益相殺の対象とならない(=損害賠償額から差し引かれない)扱いとなっています。