交通事故の用語集
差額説
交通事故の損害賠償を考えるうえでは、損害というものをどう捉えるかという重要な問題があります。この問題に関して、損害を、その不法行為がなかったら存在したであろう利益状態と、その不法行為(交通事故)の結果 、現実にもたらされて存在している利益状態との差であると理解する考え方が差額説です。この考え方に立てば、現実の収入減ないしは金銭的評価可能な経済的不利益がない限り、損害の発生は認められないことになります。近時の下級審裁判例の多くは、基本的にはこの差額説を前提としつつも、差額説とは別の考え方である労働能力喪失説(労働能力の喪失・低下そのものを財産的損害と捉える考え方)をも加味した考え方を採用しているといわれています。