裁判例集
交通事故の損害賠償の裁判例: 東京地裁H20-6-30
交通事故の裁判例
交通事故発生の約5年後に自殺した場合について、自殺の契機は同居していた女性が自殺したことにあるとして、交通事故と被害者の自殺との因果関係を認めなかった。
交通事故の裁判例判旨
原告らは、後遺障害としてうつ病を主張している。上記のとおり、本件事故がうつ病発症の一因となったことは否定できないものの、うつ病の症状が固定した、すなわち、改善を期待できない状態になったとまで認めるに足りる証拠はなく、原告らも、Hが死亡した平成一八年一一月一一日をもって症状固定日と主張していることを踏まえると、うつ病については本件事故による後遺障害と認めることはできない。
なお、原告らは、Hの自殺と本件事故との間には相当因果関係があると主張している。確かに、上記のとおり、Hは、本件事故が一因となってうつ病になり、自殺した背景的事情としてうつ病の存在があったことは否定できないが、Hは、同居していたWが自殺した直後に自殺していることからすると、Wの自殺が契機となったことは明らかであり、本件事故からの時間的経過をも考慮すると、本件事故と自殺との間に相当因果関係を認めることはできない。