裁判例集
交通事故の損害賠償の裁判例: 東京地裁H15-5-8
交通事故の裁判例
死亡慰謝料として、加害者は甚だしい酩酊状態で時速80kmで加害車両を運転して被害車に追突し、被害者を約89m引きずって死亡させたこと、事故後、被害者を救護せず、飲酒運転の発覚を免れるためコンビニエンスストアで日本酒を購入して飲むという証拠隠滅行為をしたこと等の事情を考慮した。
交通事故の裁判例判旨
前記三(5)のIの慰謝料についての認定事実のとおり、被告Oが起こした本件事故の態様が、極めて悪質であることに加え、上記事実によれば、被告Oは、飲酒運転の発覚を免れる目的をもって、本件事故後にワンカップの日本酒を購入して飲むという証拠隠滅行為を行っている。そして、被告Oの上記の証拠隠滅行為の結果、被告Oの刑事手続は、当初は、業務上過失致死罪及び道路交通法上の救護義務違反による起訴がなされ、被告Oがアルコールの影響により本件事故を起こしたことは刑事上不問に付されており、原告らによる、検察庁への上申書の提出、署名運動などを経て、ようやく道路交通法の酒気帯び運転による追起訴及び危険運転致死罪の訴因の追加がなされるという経過をたどったのである。したがって、被告Oのこれらの一連の行為によって、原告らが被った精神的損害は大きいといわざるを得ず、原告Tの固有の精神的苦痛を慰謝するためには、Iの死亡慰謝料の他に、二〇〇万円の範囲で慰謝料を認めるのが相当である。