裁判例集

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交通事故の損害賠償の裁判例: 東京地裁H15-3-27

交通事故の裁判例

交通事故の死亡慰謝料を算定するうえで、加害者が飲酒し、自動車を運転して帰宅する途中、高速自動車道を逆方向に走行したことなどを考慮した。

交通事故の裁判例判旨

本件に顕れた一切の事情,とりわけ,〔1〕本件事故は,被告《乙1》が相当程度酩酊した状態で高速道路を走行するという,ただでさえ危険この上ない行為であることに加えて,意識が朦朧としていく中でついには高速道路を走行しているとの自覚すら失い,一般道と錯覚した上,目的地を通過してしまったという酩酊者特有の矛盾した誤信の結果(甲62,63),高速道路上で転回して逆走するという,常軌を逸した運転行為が招いたものであって,被告《乙1》の運転行為における過失は,一方的であることは勿論,極めて重大かつ悪質であること,〔2〕そもそも,被告《乙1》の飲酒行為については,被告《乙1》は,宿泊することなく高速道路を1時間以上も運転して帰宅する予定でありながら,自ら進んで相当量の飲酒をしたものであり,このような運転行為を予定した飲酒自体が,重大な結果を招来する危険性の強い行為であって,飲酒行為自体の悪質性も決して見過ごすことはできないこと,〔3〕実際,これらの行為の結果として,亡aほか1名の尊い生命が奪われたものであり,行為の悪質性に加えて,その結果もまた極めて悲惨かつ重大なものであること,〔4〕また,土曜日の夜,仕事を終えて,東京の自宅に向かって常磐道を走行していた亡aにしてみれば,突然,前方から迫ってくる,凶器とさえ称しても決して過言ではない《乙1》車を予測しようはずもなく,実際,《乙1》車を認識した時の恐怖心,驚き等の大きさは,まさに想像するに余りあるものであったであろうこと,〔5〕さらに,《乙1》車が逆走するに至った原因が,被告《乙1》が泊まることなく帰宅する予定でありながら本件忘年会で大量に飲酒したことにあり,これを更に遡れば,被告《乙1》が他の販売2課の課員たちと共に日ごろから飲酒運転を重ねており,被告《乙1》の規範意識が極めて鈍磨してしまっていたことに遠因があり,本件事故はいわばいつ発生しても不思議ではないものであったこと,そして,亡aがこれを知ったとすれば,飲酒運転による悲惨な交通死亡事故がマスコミで繰り返し報道されているにもかかわらず,一向に同種事件が跡を絶たないこともあって,亡aの憤懣やるかたなさは一層激しいものであったであろうこと,〔6〕そして,原告《甲1》は,自分を気遣って,毎日朝と夜には必ず電話をかけてきてくれた亡aの突然の死によって深い精神的打撃を受け,平成12年12月20日過ぎころ,18階の自宅のベランダから投身自殺を図ろうとまでしたり,現在でも他人と会うのを避けるようにするなど,虚ろな日々を送っていること(甲16,59,68,74,99,102,原告《甲2》本人),一方,亡aにしてみても,本件事故によって,結婚当時から病弱であり,専ら自分を頼りにこれまでの人生を歩んできた原告《甲1》を遺して死出の旅路に赴かなくてはならなかったのは,誠に無念であったであろうこと,〔7〕他方,被告《乙1》は,本件事故後,自らも右肩を骨折する等の負傷をしたため,手術を受けるなど入院加療を受けていたものの(甲63),両親等を通じる等の方法を講じてでも遺族に対し真摯な謝罪の意思を示すべきであったにもかかわらず,このような方法を講じることもなく,さらに,平成12年12月末ころ,退院した後も,直ちに遺族らのもとに謝罪に赴くことなく,原告《甲2》から連絡を受けて,自宅を訪問されてようやく謝罪するなど(甲16,17,59,68,97),原告らに対する謝罪の意思の表明の在り方等において配慮に欠けた面があったことなどの事情を斟酌するならば,本件事故によって被った亡aの精神的苦痛を慰謝するには,3600万円が相当であると認める。

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