裁判例集

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交通事故の損害賠償の裁判例: 最判S58-9-6

交通事故の裁判例

弁護士費用の遅延損害金は交通事故日から起算される。

交通事故の裁判例判旨

不法行為の被害者が自己の権利擁護のため訴えを提起することを余儀なくされ、訴訟追行を弁護士に委任した場合には、その弁護士費用は、事案の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額の範囲内のものに限り、右不法行為と相当因果関係に立つ損害であり、被害者が加害者に対しその賠償を求めることができると解すべきことは、当裁判所の判例とするところである。しかして、不法行為に基づく損害賠償債務は、なんらの催告を要することなく、損害の発生と同時に遅滞に陥るものと解すべきところ、弁護士費用に関する前記損害は、被害者が当該不法行為に基づくその余の費目の損害の賠償を求めるについて弁護士に訴訟の追行を委任し、かつ、相手方に対して勝訴した場合に限つて、弁護士費用の全部又は一部が損害と認められるという性質のものであるが、その余の費目の損害と同一の不法行為による身体傷害など同一利益の侵害に基づいて生じたものである場合には一個の損害賠償債務の一部を構成するものというべきであるから、右弁護士費用につき不法行為の加害者が負担すべき損害賠償債務も、当該不法行為の時に発生し、かつ、遅滞に陥るものと解するのが相当である。なお、右損害の額については、被害者が弁護士費用につき不法行為時からその支払時までの間に生ずることのありうべき中間利息を不当に利得することのないように算定すべきものであることは、いうまでもない。
本件についてこれをみると、記録及び原判文に照らせば、原審が、被上告人の本件訴訟追行のための弁護士費用につき本件事故と相当因果関係のある損害を八万円と認めるにあたつて、被上告人が右事故時から当該弁護士費用の支払時までの中間利息を不当に利得することのないように算定したことが窺いえないものではないから、上告人が所論の弁護士費用に係る損害八万円について本件事故後である昭和五二年七月一九日から完済まで年五分の割合による遅延損害金の支払義務を負うとした原審の判断は、是認するに足り、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

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