裁判例集

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交通事故の損害賠償の裁判例: 最判S58-4-15

交通事故の裁判例

被害者の慰謝料請求権は、被害者の死亡により当然に発生し、放棄または免除等の特別の事情の認められないかぎり、被害者の相続人に相続される。

交通事故の裁判例判旨

原審は、亡Mが、本件事故により受傷し、一七時間後に死亡したことによつて精神的損害を被り、慰藉料請求権を取得した、との上告人の主張について、死者がその死亡自体によつて精神的苦痛を被り慰藉料請求権を取得するというのは背理であること、死者の近親者の精神的損害については民法七一一条の適用ないし類推適用により適切な救済ができること、死者自身が慰藉料請求権を取得し、かつ、それが相続の対象となると解することは,本件のように相続人不存在の場合には、それが相続財産法人ひいては国庫に帰属することになり、被害者の救済を本旨とする慰藉料制度の目的からみて不当な結果となること、などを理由としてこれを排斥している。
 しかしながら、ある者が他人の故意・過失によつて財産以外の損害を被つた場合には、その者は、財産上の損害を被つた場合と同様、損害の発生と同時にその賠償を請求する権利即ち慰藉料請求権を取得し、その者が死亡したときは、右慰藉料請求権は当然に相続の対象になるものと解するのが相当である(最高裁昭和三八年(オ)第一四〇八号同四二年一一月一日大法廷判決・民集二一巻九号二二四九頁、昭和四四年(オ)第五五五号同四四年一〇月三一日第二小法廷判決・裁判集民事九七号一四三頁、昭和四四年(オ)第四七九号同四五年四月二一日第三小法廷判決・裁判集民事九九号八九頁)。そして、民法七一一条は、死者の近親者に固有の慰藉料請求権を認めたものであるから、同条があるからといつて死者の慰藉料請求権を否定する理由とはなりえないし、また、死者自身の保護のために慰藉料請求権を認めるにあたつては、その者に相続人が存在するかどうかは直接には関係がないものというべきである。 
 したがつて、原審は、慰藉料請求権及びその相続に関する民法の解釈を誤つたものといわざるをえず、この違法が原判決中上告人の慰藉料請求を棄却した部分に影響を及ぼすことが明らかであるから、論旨は理由があり、原判決中右の部分は破棄を免れない。そして、右の点については更に審理を尽くさせる必要があるから、これを原審に差し戻すのが相当である。

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