裁判例集

一覧へ戻る

交通事故の損害賠償の裁判例: 最判S43-9-27

交通事故の裁判例

自動車整備・修理業者の被用者が、他から使用者が預り保管中の車を、私用で運転して交通事故を起こした場合に「事業の執行について」と認めた。

交通事故の裁判例判旨

本件の事実関係として原審の確定するところは、次のとおりである。すなわち、上告人は自動車の整備・修理業を営む者で、Bは上告人に雇用され、その従業員として軽自動車および小型自動車の整備・修理等の業務に従事していた者であるが、修理後は車の調子を見るため試運転をすることもあり、当時、上告人方には従業員専用の小型自動車が一台あつて、Bを含めて三人の従業員が常時これを部分品の購入等、上告人方の業務のために使用していた。本件事故当日の勤務時間が終つた午後五時過ぎころ、上告人方の従業員の一人であるCは、その友人から個人的に依頼されていた車(軽二輪自動車)の組立て修理をするについて、部分品がなかつたためBにこれを買つて来るよう依頼したので、同人は当時上告人方で預かつていたA所有の本件軽二輪自動車を運転して、右部分品を買いに行つたが、その帰途に本件事故を惹起した、というのである。
 論旨は、Aが右軽二輪を預けたのは、修繕のためではなく、置場がないためBに預けていたものであるというが、かかる事実はなんら原審の認定しないところであつて、原審が前記確定事実において、右軽二輪を当時「上告人方で預かつていた」とする、その預託関係は必ずしも明らかでないが、少なくとも、Aがほしいままに右軽二輪を置き去つたというのではなく、上告人方において承知のうえこれをAより預かり、その工場建物内に保管していた趣旨であることを知ることができる。そして、右軽二輪が少なくともかかる趣旨において上告人方に預託されたものである以上、かりに論旨の主張するように、Bが私的にAから預かつたものであるとしても、上告人はBに対する選任・監督の関係を通じて、右軽二輪自動車に対し自己の支配を及ぼしえたものというべきである。
 そして、自動車の整備・修理業者は、一般に、その工場において、整備・修理の依頼を受けた自動車を自己に預かり保管するのをつねとするから、本件において、上告人の被用者であるCが、勤務時間外に、また、私的な目的のためであるにせよ、自動車の整備・修理業者である上告人方の作業場を利用して、他より依頼を受けた自動車の整備・修理をするため、これに必要な部分品を購入すべくBに依頼し、同人が上告人方で預かつていたA所有の本件軽二輪自動車を運転した行為は、上告人の被用者であるBの日常の職務と密接な関連を有し、その行為の外形から観察して、あたかも右被用者たるBの職務の範囲内の行為に属するものと認めるのを相当とすべく、原審がこれと同趣旨に出て、右Bの運転により惹起された本件事故につき、上告人に対し民法七一五条による責任を肯定した判断は正当である。論旨引用の当裁判所昭和三八年(オ)第三六五号同三九年一二月四日第二小法廷判決(民集一八巻一〇号二〇四三頁)は事案を異にし、本件に適切でない。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用し難い。

弁護士による交通事故の示談・慰謝料増額の無料相談【HOME】へ

一覧へ戻る

  • 交通事故で被害に遭われた方、そのご家族の方へ。
    損害賠償・示談の相談は、無料相談からお問い合わせください。
  • フリーダイヤル0120-980-856
  • 365日24時間いつでも受付中!
    お気軽にお電話ください!

  • 無料ご相談フォームへ