裁判例集

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交通事故の損害賠償の裁判例: 最判H18-3-14

交通事故の裁判例

交差点で信号待ちをしていた先行車両の後方から赤色信号を殊更に無視し対向車線に進出し時速約20kmで普通乗用自動車を運転して同交差点に進入しようとしたため自車を右方道路から左折進行してきた自動車に衝突させ同車運転者らを負傷させた行為が危険運転致傷罪に当たるとした。

交通事故の裁判例判旨

被告人は,平成15年11月25日午前2時30分ころ,普通乗用自動車を運転し,札幌市北区内の信号機により交通整理の行われている交差点手前で、対面信号機の赤色表示に従って停止していた先行車両の後方にいったん停止したが,同信号機が青色表示に変わるのを待ちきれず,同交差点を右折進行すべく,同信号機がまだ赤色信号を表示していたのに構うことなく発進し,対向車線に進出して,上記停止車両の右側方を通過し,時速約20kmの速度で自車を運転して同交差点に進入しようとした。そのため,折から右方道路から青色信号に従い同交差点を左折して対向進行してきた被害者運転の普通貨物自動車を前方約14.8mの地点に認め,急制動の措置を講じたが間に合わず,同交差点入口手前の停止線相当位置付近において,同車右前部に自車右前部を衝突させ,よって,同人に加療約8日間を要する顔面部挫傷の傷害を,同人運転車両の同乗者にも加療約8日間を要する頸椎捻挫等の傷害をそれぞれ負わせた。
 以上の事実関係によれば,被告人は,赤色信号を殊更に無視し,かつ,重大な交通の危険を生じさせる速度で四輪以上の自動車を運転したものと認められ,被害者らの各傷害がこの危険運転行為によるものであることも明らかであって,刑法208条の2第2項後段の危険運転致傷罪の成立を認めた原判断は正当である。 
 所論は,被告人が自車を対向車線上に進出させたことこそが同車線上で交差点を左折してきた被害車両と衝突した原因であり,赤色信号を殊更に無視したことと被害者らの傷害との間には因果関係が認められない旨主張する。しかし,被告人が対面信号機の赤色表示に構わず,対向車線に進出して本件交差点に進入しようとしたことが,それ自体赤色信号を殊更に無視した危険運転行為にほかならないのであり,このような危険運転行為により被害者らの傷害の結果が発生したものである以上,他の交通法規違反又は注意義務違反があっても,因果関係が否定されるいわれはないというべきである。

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