裁判例集

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交通事故の損害賠償の裁判例: 最判H14-10-3

交通事故の裁判例

 

保険契約者兼保険金受取人が会社である生命保険契約の被保険者を当該会社の取締役が故意に死亡させた場合に保険者が免責されないと判断された。

交通事故の裁判例判旨

本件免責条項は,商法680条1項2号本文及び3号の規定と同旨のものであるところ,いずれもその趣旨は,生命保険契約において,保険契約者又は保険金受取人が殺人という犯罪行為によって故意に保険事故を招致したときにも保険金を入手できるとすることは,公益に反し,信義誠実の原則にも反するものであるから,保険金の支払を制限すべきであるというところにある(最高裁昭和41年(オ)第933号同42年1月31日第三小法廷判決・民集21巻1号77頁参照)。
本件免責条項は,保険契約者又は保険金受取人そのものが故意により保険事故を招致した場合のみならず,公益や信義誠実の原則という本件免責条項の趣旨に照らして,第三者の故意による保険事故の招致をもって保険契約者又は保険金受取人の行為と同一のものと評価することができる場合をも含むと解すべきである。したがって,保険契約者又は保険金受取人が会社である場合において,取締役の故意により被保険者が死亡したときには,会社の規模や構成,保険事故の発生時における当該取締役の会社における地位や影響力,当該取締役と会社との経済的利害の共通性ないし当該取締役が保険金を管理又は処分する権限の有無,行為の動機等の諸事情を総合して,当該取締役が会社を実質的に支配し若しくは事故後直ちに会社を実質的に支配し得る立場にあり,又は当該取締役が保険金の受領による利益を直接享受し得る立場にあるなど,本件免責条項の趣旨に照らして,当該取締役の故意による保険事故の招致をもって会社の行為と同一のものと評価することができる場合には,本件免責条項に該当するというべきである。
これを本件についてみるに,被上告人が,年間売上高が3億3000万円前後,従業員数が関連会社を含め20名から30名程度の有限会社であること,Aが被上告人の業務のほとんどを支配しており,Bは,代表権のない取締役であり,主として従業員の給与計算や社会保険関係の事務を担当していたものの,その役割はAが被上告人を運営していく上で必要な業務の補助的性質のものであり,Bが経営者としての立場で被上告人の業務に関与してはいなかったこと,BがAの女性関係について悩んでおり,Aを死亡させた直後に自殺していることなど上記事実関係の下においては,Bが被上告人を実質的に支配し又は事故後直ちに被上告人を実質的に支配し得る立場にあったということはできず,また,Bが保険金の受領による利益を直接享受し得る立場にあったということもできず,公益や信義誠実の原則という本件免責条項の趣旨に照らして,Bが個人的動機によって故意にAを死亡させた行為をもって被上告人の行為と同一のものと評価することができる場合には当たらないというべきである。なお,Bが資金調達面の事務に関与するため,金庫の鍵を所持し,取引銀行と交渉するなどの役割を果たしていたことや,役員報酬の年額がAに次ぐものであったことなどの事実を考慮しても,Bの行為をもって被上告人の行為と同一のものと評価することができる場合に当たるということはできない。そうすると,本件免責条項に該当しないとして,被上告人の保険金請求を認容すべきものとした原審の認定判断は,正当として是認することができる。
論旨は,原審の専権に属する証拠の取捨判断,事実の認定を非難するか,又は独自の見解に立って原判決を論難するものにすぎず,採用することができない。

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