裁判例集

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交通事故の損害賠償の裁判例: 大阪地裁H15-6-19

交通事故の裁判例

「赤色信号を殊更に無視し」たものに当たると認めた事例

交通事故の裁判例判旨

 弁護人は、判示第二の事実について、被告人は、赤色信号を殊更に無視したわけではないから、危険運転致死傷罪は成立せず、業務上過失致死傷罪が成立するにとどまると主張する。なお、被告人は、判示事故の後遺症により事故前後の記憶を喪失しているため、上記の点は、客観的証拠のほか関係者の供述等をもとに認定することとなる。
 まず、被告人運転車両が、判示事故現場交差点手前に設けられた停止線まで約九一・五メートルの地点に位置した時点で、対面信号機が赤色信号を表示していたこと、被告人運転車両が約三秒ないし四秒間クラクションを鳴らしながら事故現場交差点に進入したことは、証拠上明らかである。
 検察官は、被告人運転車両の同乗者で被告人の妻であるF子の検察官調書謄本(以下、謄本の記載は省略する。)によれば,クラクションを鳴らしたのは被告人であり、それは被告人が赤色信号を殊更に無視して事故現場交差点に進入することを交差道路の通行車両に警告するためであったと主張する。これに対して、弁護人は、F子の証言によれば、同女が被告人の無謀運転を止めるために運転席の方にもたれかかった際に、身体がクラクションに当たってクラクションが鳴った可能性があると主張する。
 そこで、検討すると、F子の身体が運転席の方にもたれかかってクラクションに当たるということ自体、姿勢として無理がある上、これによりクラクションが三秒ないし四秒間鳴り続けるとは考え難く、被告人がクラクションを押していたと考えるのが自然である。また、同女の証言の時点(本件事故の約一年二か月後)が同女の検察官調書の作成時期(本件事故の約一一か月後)とさほど隔たりがないにもかかわらず、この間に同女の供述が変遷するのも、不自然というほかない。さらに、同女の検察官調書は、被告人が事故当時クラクションを鳴らしていたと意識回復後に同女から聞いたとする被告人の検察官調書、警察官調書とも符合する。以上からすれば、同女の検察官調書は信用することができるのに対し、これに反する同女の上記証言は信用することができない。 
 したがって、被告人は事故現場交差点に進入する際クラクションを鳴らし続けた事実が認められ、この事実に、被告人はまっすぐ前を見て運転していたとF子が供述していること、被告人車両が走行した道路は見通しのよい直線道路であり、赤色信号を見落とすとは考え難いことを併せ考えれば、被告人は、対面信号機が赤色信号を表示していることを認識しながら、これを殊更に無視して事故現場交差点に進入したと優に認められる。

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