裁判例集

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交通事故の損害賠償の裁判例: 名古屋地裁H16-9-29

交通事故の裁判例

中国人の交通事故の被害者について、その能力・努力からしてかなり高額の収入を得られる蓋然性が認められることなどを考慮し、上海市と日本との経済的事情を加味したとしても日本の年収水準をやや下回る程度であると考えるのが相当であるとして、日本の賃金センサス産業計、企業規模計、男性労働者高専・短大卒全年齢平均賃金を基礎収入として認めた。

交通事故の裁判例判旨

〈1〉亡Aは、原告らの一人息子として上海市で生まれ、同市で原告らと暮らしていたところ、一九九八年三月、復且大学(対外貿易実務専攻クラス)を卒業し、また、一九九七年九月から二〇〇〇年七月まで、震東日本語専修学院日本語科において勉強して同学院を修了し、さらに、同月、上海外国語大学(日本語学専攻)を卒業した。
〈2〉亡Aは、上海外国語大学卒業後、上海市の日系企業である上海高士線有限公司に入社し、年収六万元程度であったが、二〇〇二年四月、留学生として来日し、中日本自動車短期大学に入学して、本件事故当時は、同短期大学一年に在学中であり、同短期大学卒業後は、金沢星陵大学経済学部に入学するため、二〇〇三年二月三日の外国人留学生入学試験を受験することになっていた。亡Aは、成績が優秀で、品行に問題がないことから、日本国際教育協会から限られた者しか与えられない学習奨励金を受けて同短期大学に在学していた。
〈3〉亡Aは、アルバイトもしながら勉学に励んでいたところ、金沢星陵大学卒業後は、上記のごとき学歴・能力を生かして、高収入の得られる職場に就職をする予定であり、将来に対して大きな希望を持っていたが、本件事故により、若くしてその志を遂げることなく日本の地で死亡した。
(イ)以上のごとき事実及び本件に顕われた諸般の事情を総合考慮すると、亡Aの死亡による慰謝料は、上記金額が相当であると認められる。
(ウ)被告は、中国と日本とでは物価水準及び所得水準に相違があり、慰謝料の算定には経済的事情を加味すべきと主張する。
なるほど、中国なかんずく上海市の経済的発展は目覚ましく、亡Aのごとき学歴・能力のある者の活躍する職場が多いこと、上記亡Aの学歴・能力に関する事実及び甲二三ないし三四によれば、上海市内において、亡Aのごとき学歴・能力のある者を高額の賃金で求める外資系企業が多数あるものと推認されること、亡Aが上海市に暮らす原告らの一人息子であることからすると亡Aが中国に帰国する可能性が否定できないこと等に照らすと、亡Aが、日本で就職をする予定であったのであり、いずれは中国に帰国する予定であったわけではない旨の原告らの主張は、採用できないといわざるを得ない。
しかしながら、上記のごとき諸事情を総合すれば、上海市と日本との経済的事情を加味したとしても、亡Aの死亡による慰謝料として上記金額を認めるのは何ら差し支えないというべきである。

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