裁判例集

一覧へ戻る

交通事故の損害賠償の裁判例: 東京地裁H16-4-22

交通事故の裁判例

被害車両の修理費用につき、「中古車価格ガイドブック」記載の中古車価格を上回るものの、被害車両の走行距離が極めて短いこと等を理由として、経済的全損とは認めなかった事例。

交通事故の裁判例判旨

証拠(甲二、六、乙五、原告本人)及び弁論の全趣旨によれば、原告車両の車種はトヨタ・スープラであり、初度登録が平成二年一〇月であること、原告は、原告車両を平成一四年八月に約七〇万円でディーラーから購入したこと、原告車両の走行距離は、購入時は二万七〇〇〇kmないし二万八〇〇〇km、平成一六年二月の時点で約三万三〇〇〇km、本件事故当時は約三万km前後であったこと、原告は、本件事故による原告車両の修理費用として五七万二二五〇円(消費税相当額を含む。)を要したことが認められる。
被告は、原告車両の初度登録から本件事故まで一二年以上経過していることから、原告車両の本件事故当時の時価額はせいぜい二四万五〇〇〇円程度であるところ、原告車両の修理費用はこれを上回り、いわゆる経済的全損であるから、原告車両の損害は二四万五〇〇〇円程度にとどまると主張し、これに沿う証拠として、日本自動車査定協会の「中古車価格ガィドブヅク」(乙四)を提出する。
しかしながら、車両の時価額は、同種車両であっても、車歴・使用月数・走行距離・整備状態等によって異なるところ、乙四は、市場情報を参考に平均的な中古車価格を予想したもので(乙四の「まえがき」参照。)、通常の走行距離を前提とする価格であると考えられるが、原告車両は初度登録こそ平成二年一〇月であるものの、走行距離は三万km前後と、初度登録から一二年以上経過している車両としては極めて短い走行距離であると評価すべきことからすれば、乙四をもって原告車両の価格を認定することは相当ではない。
そして、証拠(甲四の一ないし八)上認められる原告車両と同種車両の中古車市場の価格は、〔1〕六八万円(スープラGTターボリミテッド、年式平成元年、走行距離四万八八〇〇km。甲四の一)、〔2〕六九万円(スープラターボA、年式昭和六三年、走行距離一二万三六〇〇km。甲四の二)、〔3〕三八万円(スープラターボA、年式昭和六三年、走行距離九万四五〇〇km。甲四の三),〔4〕三四万円(スープラGTツインターボR、年式平成二年、走行距離一〇万五〇〇〇km。甲四の四)、〔5〕六五万円(スープラGTツインターボローダウン、年式平成三年、走行距離五万一〇〇〇km。甲四の五)、〔6〕四〇万円(スープラGTツインターボR、年式平成四年、走行距離六万二〇〇〇km、甲四の六)、〔7〕九〇万五〇〇〇円(スープラGTツインターボR、年式平成四年、走行距離四万九〇〇〇km。甲四の七)、〔8〕四九万八〇〇〇円(スープラGTツインターボワイド、初度登録平成三年、走行距離五万六〇〇〇km。甲四の八)と、三四万円から九〇万五〇〇〇円までの幅があるが、原告車両よりも年式が古く、走行距離が相当程度多い車両(前記〔1〕・〔2〕)、あるいは年式が近く、走行距離が相当程度多い車両(前記〔5〕・〔7〕)でも、六五万円ないし九〇万五〇〇〇円で販売されていることが認められる(他方、販売価格が低い前記〔3〕は、年式が原告車両より古い上、走行距離も三倍以上であり、前記〔4〕・〔6〕・〔8〕は、年式は同じか近いが、走行距離が約一・九倍ないし三・五倍である。)。また、原告は、実際に、原告車両を平成一四年八月にディーラーから約七〇万円で購入しており、前記のとおり、本件事故当時の走行距離も購入時と大差のない約三万km前後であった。これらの事情を総合考慮すると、原告車両の本件事故当時の時価額が、原告が原告車両の修理に要した五七万二二五〇円を下回るものと認めることはできない。
したがって、原告車両が経済的全損であるとの被告の主張は理由がなく、原告車両の修理費用相当額である五七万二二五〇円を、本件事故と相当因果関係のある損害として認めるのが相当である。

弁護士による交通事故の示談・慰謝料増額の無料相談【HOME】へ

一覧へ戻る

  • 交通事故で被害に遭われた方、そのご家族の方へ。
    損害賠償・示談の相談は、無料相談からお問い合わせください。
  • フリーダイヤル0120-980-856
  • 365日24時間いつでも受付中!
    お気軽にお電話ください!

  • 無料ご相談フォームへ