裁判例集

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交通事故の損害賠償の裁判例: 名古屋地裁H15-5-16

交通事故の裁判例

事故捜査のため被害車両が警察署に留置された期間を休車期間に含め、同期間中の得られたであろう営業利益から、被害車両の運転者が同車両の休車期間中に空いていた他の車両で運送業務に従事したことによる運行利益を控除して算定した。

交通事故の裁判例判旨

ア 甲一五及び一六、証人I及び弁論の全趣旨によれば、丙車は、「科学的検証のため」との捜査上の理由により、本件事故日から平成一一年八月二日まで、養老警察署に留置されたことから、同月三日にレッカー車で修理先の有限会社山昌自動車に運ばれ、同年一〇月二〇日に同社の修理が完了してT産業運輸に納車されたものであることが認められ、本件事故によるT産業運輸の丙車の休車期間は九五日(平成一一年七月一八日から同年一〇月二〇日まで)であると考えられる。
 被告らは、養老警察署に留置されていたとの期間を休車期間として含めているのは、捜査のために公益的見地から国民の義務としてされるものについて損害を求めることであり相当でない旨主張する。
 しかしながら、亡Yの不法行為に基づく本件事故捜査の必要から、T産業運輸が丙車の警察への留置を余儀なくされたものであり、同原告の被った損害に、その間の丙車を使用できなかった期間を含めることは相当であるから、被告らの上記主張は採用できない。
 また、被告らは、丙車については、T産業運輸において予備車があると思われ、レンタカーの手配も可能ではないかと考えられる旨主張する。
 しかしながら、甲一四及び一五、証人I及び弁論の全趣旨によれば、丙車は、四トン車のパワーゲート車で、かつ、ウイングゲート車という特殊車両であること、T産業運輸には、本件事故当時四トン車のパワーゲート車は七台あったが、それぞれ専属に輸送する業務に従事しており、予備車はなかったこと、パワーゲート車もレンタカーとなっているが、レンタカーはいわゆる白ナンバーで営業ナンバーではないから、営業車として運送会社が使用することはできないことが認められるから、被告らの上記主張も採用できない。
イ 甲六の一及び二、一五、証人I及び弁論の全趣旨によれば、丙車の本件事故前二か月間の運賃収入と経費の明細は、平成一一年五月分の運賃収入七三万二七九〇円に対し、経費は、燃料費九万六八八二円、道路使用料一万三四五〇円、運転手給料二五万一〇〇〇円であり、同年六月分の運賃収入六五万二〇〇〇円に対し,経費は、燃料費一二万三四一四円、道路使用料一万八〇〇〇円、運転手給料二五万八八〇〇円であることが認められるから、T産業運輸の丙車による一日当りの営業利益は一万〇二一七円となり、上記休車期間九五日で九七万〇六一五円となる。
ウ ところで、甲二〇、証人I及び弁論の全趣旨によれば、Wは、本件事故による打撲のため、平成一一年七月一九日と二〇日は休んだが、その後は出勤して、偶々、T産業運輸において、同年六月末に四トンの平ボデー貨物車の運転手が退職した後、後任の運転手の採用が決まらず空いていた当該車があったことから、これを運転して、丙車の上記休車期間中、大和物流株式会社の運送業務に専属で従事したことが認められるから、同原告の被った丙車の休車損害の算定については、この点の運行利益を控除しなければならないというべきである。 
 そこで、この点について検討するに、甲一九の一ないし三、二〇及び二一、証人I及び弁論の全趣旨によれば、T産業運輸において四トンの平ボデー貨物車を運転して、大和物流株式会社の運送業務に専属で従事していた、Wの同僚NとCの平成一四年八月から同年一〇月までの三か月分における一人一ヶ月当り平均運送収入は、五六万七〇五三円であること、これに対する同期間の一人一ヶ月当り平均運送経費は、燃料費一〇万六九五六円、高速道路使用料一〇万〇一八五円、給料二五万四九〇〇円で、計四六万二〇四一円であること、上記平均運送収入五六万七〇五三円から上記平均運送経費四六万二〇四一円を控除すると、一か月当りの運行利益は一〇万五〇一二円であること、同原告の大和物流株式会社からの運送利益は、平成一一年八月から同年一〇月までと平成一四年八月から同年一〇月までとでほぼ同額であることが認められる。すると、Wが稼働した九三日については、三一万八五二五円となる。
(31+30+31)÷3=30.66日
10万5012円÷30.66=3425円
3425円×93=31万8525円
 被告らは、甲一九の一ないし三の乗務員管理表には、高速支給額の項目があり、運賃収入と高速支給額の合計額の記載があることからすると、当該支給額は荷主から受領しているものではないかと考えられ、また、甲六には燃料費について、使用量がでているが、甲一九の一ないし三には使用量がでておらず、燃料の使用量の集計がないのかどうか不明であり、売上の面では、八月と九月を比較しただけでも、運送収入が走行距離あるいは実車距離に比例しているわけでなく、輸送トン数によって売上高が決まっているわけでないから、管理表の数値ができた理由も不明で、ことに、八月と九月を比較した場合、高速合計は、倍以上になっていることから、その分売上高が倍になっているかというと売上高の伸びはそれほどでもなく、せいぜい二〇パーセント程度であると考えられ、これらによると、売上高と経費の相関関係は疑問であるところ、加えて、甲六にもあるとおり、かならずしも特定会社への便を業務としているわけではないことや専属としての範囲でのみ売上高を判断することは妥当でないことなどからすれば、休車損害については、具体的に立証がされていないというべきであるから、認められない旨主張する。
 しかしながら、Wの上記稼働によるT産業運輸の運行利益に関する同原告の上記主張は、合理的なものと認められ、被告らの上記各主張は、これに対する疑問ないし単なる推測にすぎず、上記同原告の運行利益に関する認定判断を左右するものとは考え難いから、いずれも採用できないというべきである。
エ すると、上記第三、一(2)イの九七万〇六一五円から同(2)ウの三一万八五二五円を控除した六五万二〇九〇円が本件事故によるT産業運輸の休車損害額となる。

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