裁判例集

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交通事故の損害賠償の裁判例:福岡高裁H17-8-9

交通事故の裁判例

交通事故の損害賠償における将来の義足に要する費用の算定にあたり、その購入額を基礎とした上で、中間利息を控除しなかった。

交通事故の裁判例判旨

証拠(甲26ないし28,31,38,原審控訴人本人)及び弁論の全趣旨によれば,義足の交換頻度に関連して,以下の事実が認められる。すなわち,控訴人は,左下腿部切断後頻繁に皮膚の合併症を引き起こしており,これは,医師によっては体験したことがないような難治性の症例である。また,控訴人の左下腿断端(切断部分)の末端部は,その皮膚が薄く,ぜい弱であることが原因で,義足との接合部分に微差が生じただけでも傷ができてしまうため,断端を収納するソケットやライナーを適合させるべく,圧力の分散や体重支持面の適合等にかなりの配慮を要する状態である。さらに,一定期間義足を使用した場合には,ライナーがわずかに薄くなることや断端の周径変化のため,ライナーのサイズが合わなくなる事態が生ずるが,控訴人の場合には,このような変化でも断端部の皮膚に影響を及ぼすので,そのため通常の場合よりも義足の交換や修理を多く行う必要がある。このような事情をも考慮すると,控訴人については少なくとも3年に1度の頻度で義足の交換を要し,そのための費用の支出が必要となるものと認めるのが相当である。そして,控訴人は,症状固定時である平成14年3月18日当時満34歳であって,平成12年簡易生命表によると,控訴人の同時点における余命年数は約51年であるから,控訴人は,今後,平成17年を初回として,少なくとも16回にわたり,義足を交換する必要があることになる。他方,上記第3の2(1)エに認定のとおり,控訴人は現在装着の義足に代金145万3060円の支出を余儀なくされ,また,証拠(甲9)及び弁論の全趣旨によれば,平成15年当時の見積もりでも,国内業者によるKBM式の義足への交換に119万9950円を要すること,控訴人は,近く製造元へ義足の交換のために渡英する予定であるが,その渡航費や滞在費を含めて300万円近い費用を要する見込みであることが認められる。
ところで、義足については,従来一般的であったものと控訴人が現在装着しているものとを比較して論ずるまでもなく,今後の技術の発達や障害に対する一般の意識の変化等に伴い,被害者の身体機能をより良く補うことのできるものが,生活場面に応じたタイプ別に,数多く開発される可能性が高いということができる。そして,技術の発達による製作コストの減少の可能性を考慮に入れても,その購入ないし交換費用は,今後,増大する蓋然性が相当高度であり,かつ,上記認定の控訴人の事情からみて,控訴人の義足交換の頻度が上記認定の頻度を上回る可能性も相当程度見込まれるというべきである。また,義足交換費用は,現時点においても確実に出費が見込まれる費用であり,将来交換の都度具体的に発生するものとはいえ,いわゆる積極損害の範疇にあると考えられる点で,類型的に現在価格への換算が必要と考えられる将来の逸失利益とは性質を異にする面をも有している。
そこで,これらの事情に照らすと,本件においては,現在から将来の支出時点までの間の中間利息を控除することなく,上記119万9950円の16回分である1919万9200円をもって控訴人の将来の義足費用相当損害額と認めるのが相当である。

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