裁判例集
交通事故の損害賠償の裁判例:神戸地裁H5-2-10
交通事故の裁判例
両親が、その子(男・17歳)が被害車を通学に使用することを知りながら格別の注意を与えずこれを放置していたとしても、危険な運転をして事故を惹起するような徴候はなかったとして、指導監督義務違反があったとはいえず、民法709条の不法行為責任を負わないと判断した。
交通事故に係る裁判例判旨
被告Xが被告車両を運転するに当たり危険な運転をして事故を惹起するような徴候はなかつたものと認めるのが相当であるから、被告A及び被告Bにおいては、被告Xが被告車両を通学に使用することを知りながら格別の注意を与えずこれを放置していたとしても、そのことから被告Xが前記認定、説示にかかるような過失により本件事故を惹起させるかもしれないことを予見することは困難であつたといわざるを得ず、そのほか、日頃の具体的な指導監督の懈怠について主張、立証のない本件においては、被告A及び被告Bが右のような態度で被告Xの被告車両による通学を止めさせなかつたことをもつて、本件事故の発生と相当因果関係のある指導監督義務違反があつたとすることはできないというべきである。
そうすると、被告A及び被告Bは、民法七〇九条に基づく不法行為責任を負うものではないことに帰着する。