裁判例集

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交通事故の損害賠償の裁判例:神戸地裁H17-7-21

交通事故の裁判例

交通事故の被害者の損害額を考慮するうえで、被害者の糖尿病、高血圧の既往症を考慮しなかった。

交通事故の裁判例判旨

(1)乙第九号証(診療録)中の救急外来患者診療録には、原告の既往歴として糖尿病と高血圧の記載があり、乙第一二号証(診断書)中の医師H(以下「H医師」という。)作成の平成一四年八月九日付け診断書には、原告の既往症として高血圧の記載がある。
(2)まず、糖尿病については、原告が本件事故前糖尿病の治療を行っていたことをうかがわせる証拠はなく、原告の主治医であるH医師は、糖尿病は大動脈解離の発生に影響していない旨回答している(甲二五の一・二)。したがって、原告に糖尿病の既往歴があったとしても、軽度、あるいは一般的なものであって、原告が本件事故により受けた傷害及び後遺障害に対する寄与は極めて軽微であると認められる。
(3)次に、原告は、本件事故の六、七年前に高血圧の診断を受け、本件事故発生時まで、月一、二回通院し、服薬していた(甲二七、原告)。そして、高血圧は、大動脈解離の要因あるいは誘因のひとつであると考えられており(甲一八、一九の一・二)、乙第一五号証(医師T作成の医学意見書)中には「…高血圧の存在は、その原因である動脈硬化によって、…動脈壁に種々の変性が進行して動脈壁が脆弱となっていることが示唆される。従って、交通事故などによる外力が加わると正常人に比して、大動脈解離を惹起する可能性が有意に高率であると考えられる。」との記載がある。
 しかし、本件事故前原告がどの程度の高血圧であったかを具体的な数字をもって裏付ける証拠はなく、H医師も、高血圧は大動脈解離の発生に影響していない旨回答している(甲二五の一・二)ことに、本件事故の態様、衝撃の程度等を考慮すると、原告の高血圧が大動脈解離の発症に関与していることが否定できないとしても、本件事故による受傷だけでも、原告に現実に生じた入通院治療、後遺障害と同程度の治療が必要となり、障害が残存した蓋然性も相当あるというべきであり、高血圧の損害の発生・拡大に対する寄与の度合いは相当軽微であると認められる。
(4)そうすると、糖尿病や高血圧の治療長期化や後遺障害に影響を及ぼした寄与率を二〇ないし三〇パーセントと考える旨の乙第一五号証中の記載は採用することができず、糖尿病及び高血圧の存在によって既往症減額をすることは相当でないというべきである。他に本件において既往症減額をすべき事情を見いだすことは困難である。

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