裁判例集

一覧へ戻る

交通事故の損害賠償の裁判例:東京地裁H7-2-14

交通事故の裁判例

被害車両の修理につき被害者が全塗装に固執したため被害車両が修理されないまま放置された結果劣化が生じて必要となった新たな修理費用について、加害者の賠償すべき損害は、部分塗装を前提とした修理費用に止まるという事情のもとで、事故と相当因果関係を有する損害として認めなかった。

交通事故の裁判例判旨

部分塗装による場合、太陽光線や蛍光灯の下で、塗装しない部分とつややくすみの差が生じるというのであるが、原告車の部分塗装の範囲も考慮した場合、右の程度の差異は原告車の外観に重大な影響を与えるものとはいいがたい。
そもそも、第一見積書においては、全塗装の費用が見積もられておらず、原告の要請に応えて作成された第二見積書において全塗装の費用が見積もられているのであるが、その理由についてヤナセの従業員Aは、その陳述書(甲四〇)において、色違いの程度は実際に塗装してみないとわからなかつたので、第一見積書には全塗装の費用を見積もらず、損傷部分の修理後色違いが生じたら追加見積もりをするつもりであつた旨述べながら、他方、同証人は、はつきりとわかる程度の色違いが生じると判断していたとも述べている。もし、同証人の指摘するとおり、顕著な色違いが生じるというのであれば、修理費用に大きな差が生じるのであるから、この点に関し、第一見積書に何らの記載もなく、第一見積書作成段階で、ヤナセから安田火災や原告に対し、追加見積もりの可能性があることを知らせた形跡がないこと、さらに同証人の証人尋問においても何ら触れていないことなどは、極めて不自然というほかはなく、この点に関する陳述書記載部分は直ちに信用できず、むしろ、ヤナセとしても多少のつややくすみの差が生じるにしても、それが原告車の美観を損なう程度の顕著なものとの認識がなかつたために、第一見積書は、部分塗装を前提として作成されたものと推認することができる。また、右のような多少の光沢の差が生じるのは、原告車が購入後二年近くを経過して、既に色褪せ等が生じていたためであることや、全塗装する場合に要する費用は、原告車の損傷のひどい後部の部分塗装の場合に要する費用の二倍以上にもなることなどの事情も併せて考慮すれば、本件において、原告車の全塗装を認めるのは、過大な費用をかけて原告車に原状回復以上の利益を得させることになることが明らかであり、修理方法として著しく妥当性を欠くものといわざるをえないから、部分塗装を前提とした修理費用をもつて本件事故と相当因果関係にある損害というべきである。

弁護士による交通事故の示談・慰謝料増額の無料相談【HOME】へ

一覧へ戻る

  • 交通事故で被害に遭われた方、そのご家族の方へ。
    損害賠償・示談の相談は、無料相談からお問い合わせください。
  • フリーダイヤル0120-980-856
  • 365日24時間いつでも受付中!
    お気軽にお電話ください!

  • 無料ご相談フォームへ