裁判例集
交通事故の損害賠償の裁判例:東京地裁H19-1-25
交通事故の裁判例
飲酒して自転車にまたがっていた被害者が転倒してバスの後輪で轢かれたという交通事故について、バスの運転手は無過失と判断した。
交通事故の裁判例判旨
原告らは、被告Hは本件事故直前にJを見ていなかったと主張し、被告Hの本件事故直前にJを見ていたとの供述は、Jを避けて道路の左側を通行していないこと、被告Hは本件事故直後最初に左後方を見ていること、被告HのJを発見した位置についての供述が変遷していることなどによると信用性がない旨主張する。
しかし、被告Hは、本件事故直後に立ち会った実況見分時から、その認識した地点に若干の相違はあるものの、一貫して本件事故直前にJを認識していたと供述しており、また、本件事故現場は明るかったこと,J以外にもその周囲に相当数の人がいたことなど、前記認定の本件事故現場の状況及び本件事故の態様に照らすと被告Hが本件事故直前にJを認識していたということが不自然なものとは解されない。
以上によれば、被告Hの本件事故時のJの認識についての供述は信用することができ、これによると、被告Hは、本件事故直前にJを認識していたものと認められる。したがって、原告らの前方注視義務違反の主張を採用することはできない。