裁判例集
交通事故の損害賠償の裁判例:東京地裁H7-11-22
交通事故の裁判例
責任能力を有する未成年者が起こした交通事故につき、親権者には事故発生につき具体的な予見可能性があつたとは認められないとして、親権者の責任を否定した。
交通事故に係る裁判例判旨
本件事故における被告Xの不法行為責任を肯定するためには,被告Aが責任能力を有する以上(当裁判所には顕著な事実である。)、被告Xが、被告Aに交通事故を発生させる具体的危険性があるにもかかわらず親権者としてこれを制止する等の措置を怠り、その結果本件事故が発生したことが必要である。
原告らは、この点について、被告Aの運転が未熟であること、他人所有車両を運転することを主張するが、前者については、仮に被告Aの運転技術が未熟であり、かつ親権者たる被告Xがこれを認識していたとしても、被告Xが、運転免許を有する被告Aの運転を制止すべき監督上の義務があるとは直ちにいえないし、被告Xに被告Aの交通事故発生につき具体的な予見可能性があったと認めるに足りる証拠もないこと、後者についても、被告Aが運転する車両の所有権の帰属と交通事故の発生とは全く別個の問題であり、本件事故との相当因果関係を認められないことから、原告らの主張はいずれも採用することはできない。