裁判例集

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交通事故の損害賠償の裁判例:東京地裁H6-6-24

交通事故の裁判例

全損の被害車両に関する自動車税・自動車重量税・自賠責保険料について損害賠償を認めなかった。

交通事故の裁判例判旨

ア 自動車税及び自動車重量税関係
原告らは、被害車両に関して、三万九五〇〇円の自動車税と二万五二〇〇円の自動車重量税を納付したとし、被害車両を滅失させられたのは、自動車税の賦課期日である四月一日から三・五カ月経過した時点であり、自動車重量税を納付した車検時から二カ月経過した時点であつて、自動車重量税については未経過の期間二二カ月に対応する部分二万三一〇〇円が、自動車税については未経過の期間八・五カ月に対応する部分から還付を受けた一万九八〇〇円を差し引いた八一八〇円が、それぞれ本件事故により生じた損害である旨主張する。
証拠(甲一八、一九、二一、四二の3、四五)及び弁論の全趣旨によれば、原告らが、被害車両に関して、平成元年四月一日を賦課期日とする自動車税三万九五〇〇円を、平成元年五月に車検を受けて自動車検査証の返付を受けるに際して自動車重量税二万五二〇〇円をそれぞれ納付したことが認められる。
そこで、自動車税、自動車重量税を納付した後に課税物件たる自動車が滅失した場合についてみるに、自動車税にあつては、納税義務が消滅したとしてその消滅した月までの月割りをもつて自動車税を課するとされているから(地方税法第一五〇条第二項参照)、自動車所有者は、自動車登録を抹消することにより納税義務を消滅させて、既に納付した自動車税のうちの登録抹消となつた日の属する月の翌月以降の部分に相当部分を月割りで還付を受けることができるのであるが、自動車重量税にあつては、このような還付の制度は設けられていない。これは、自動車税が自動車を所有しているという状態に対して課せられるものであるのに対し、自動車重量税は自動車につき車検を受けるという一回的な行為に対して課されるものであるという、それぞれの税の性格の差異に基づくものと解される。すなわち、自動車税は、一年分を一括して徴収されるが、所有の状態が続いているとみうる限りにおいて課税されるものであり、納税義務の消長に応じて還付によつて調整するものであるし、自動車重量税は、ひとたび納付して車検を受けた以上、その後の自動車の滅失によつて課税の根拠が揺らぐことはないから、還付の制度は必要ないのである。ところで、原告らが損害として主張するのは、自動車税に関しては、自動車が滅失となつた日から登録抹消の日の属する月の末日までの期間に対応する部分、自動車重量税に関しては、自動車が滅失となつた日から自動車検査証の有効期間の末日までの期間に対応する部分であり、いずれも、納付した税額に相当する金額を基準として、〇・五月単位で均等に割り出したものであつて、現行の地方税法、自動車重量税法の下では還付されない部分に相当する金額を独自の計算方法で算出したものというべきである。そして、原告らの主張は、そもそも税金としては還付されることのないこれらの部分に相当する金額が、加害者との関係においては、被害車両の滅失を余儀なくされたことによる損害に当たるとして別個に賠償の対象となるとするものと解するほかないところ、そのように解する根拠は見いだしがたいのであつて、原告らの主張は、独自の見解に基づくものというべく、採用することができない。
イ 自賠責保険料関係
原告らは、被害車両につき平成元年六月二四日に二年間の契約で自賠責保険に加入し四万一八五〇円納付したが、加入後一カ月弱経過した段階で本件事故に遭つたため、これを解約したが返戻金は三万二五八〇円にすぎず、以下の計算式による差額分は、本件事故によつて生じた損害である旨主張する。
(計算式)41850ー41850÷24×1ー32580=7527
自賠責保険は強制保険という性格上、無保険車の発生を防止するため解約が制限されているが、自動車について滅失等により抹消登録を受けた場合には、保険契約者の申出により解約できるとされており、この場合は、所定の解約保険料表に従つて解約に伴う保険料の返還を受けられるところであつて(自賠法第二〇条の二、約款第一〇条第一項、第一三条第二項参照)、保険期間途中において交通事故によつて自動車の滅失を余儀なくされた者であつても、登録抹消手続をとることにより保険契約を解約することができ所定の返戻金を受け得るのであるから、既に納付した保険料に関しては、自動車を滅失されたことによる損害として主張することはできないというべきである。原告らの主張は、返戻金につき月割りで計算した上で実際の返戻金との差額は、交通事故によつて生じた損害であるとして、加害者に対して賠償請求をなしうるとするものと解するほかないが、そのように解する根拠は見いだしがたく、独自の見解というべきであつて、採用することができない。

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