裁判例集

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交通事故の損害賠償の裁判例:東京地裁H19-3-30

交通事故の裁判例

交通事故の被害者が、被告とともに飲酒し、被告が運転する車両にシートベルトを装着せず同乗中、被告が居眠り運転をしたため駐車車両に追突し、被害者が死亡した場合に、好意同乗減額及びシートベルト装着義務違反を併せて25パーセントの損害の減額を認めた。

交通事故の裁判例判旨

一 第一認定の事実によれば、亡Jは、Tとともに自ら被告Iを呼び出して一緒にキャバクラに赴き、同所で約四時間にわたり被告Iとともに飲酒した(うち被告Iの飲酒時間は約二時間三〇分)上で、被告Iが運転する車両に同乗しているのであるから、自ら交通事故発生の危険性が高い状況を招来し、そのような状況を認識した上で同乗したものと認められる。また、亡Jは、本件事故の際、シートベルトを装着せずに、脳挫傷、頭蓋底骨折、気脳症、外傷性くも膜下出血、顔面骨骨折、頚髄損傷、顔面挫創、左血気胸、左鎖骨骨折、左大腿骨頚部骨折、腹腔内出血、下顎骨折、左下腿骨折の傷害を被り死亡したのであるから、損害の公平の分担の見地から、民法七二二条二項の類推適用により、好意同乗減額及びシートベルト装着義務違反を併せて二五パーセントの損害の減額を行うのが相当である。
二 これに対して、原告らは、亡Jがシートベルト装着していたとしても同人が死亡していた蓋然性が高い旨主張する。しかしながら、亡Jは、上記の傷害を負って死亡したところ、亡Jがシートベルトを装着していれば、これらの傷害の程度を軽減できた可能性は否定できないから、原告らの上記主張は採用できない。
 また、原告らは、シートベルト装着義務の名宛人は同乗車両の運転者の被告Iであるから、被告Iとの関係ではシートベルト装着義務違反を損害の減額事由とはすることはできない旨主張する。たしかに道交法上のシートベルト装着義務の名宛人は、同乗車両の運転者である被告Iである(同法七一条の三第二項)。しかしながら、助手席同乗者のシートベルト装着義務がすべての道路で法制化されたのは昭和六〇年であり既に社会に定着していると考えられること、同乗者のシートベルト装着義務は、同乗者の生命、身体を保護するためのものであるから、同乗者が自らの生命、身体を保護するために当然に負うべき義務と考えられ、同義務を怠った同乗者は、自ら交通事故による損害の拡大の危険性が高い状況を作出したといえる。したがって、亡Jのシートベルト装着義務違反は、同乗車両の運転手である被告Iに対する関係でも損害の減額事由と考えるのが相当である。

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