裁判例集
交通事故の損害賠償の裁判例:東京地裁H17-2-15
交通事故の裁判例
原告の右膝痛、右膝の異常知覚等の症状については反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)であると認められるが、原被告間の恋愛関係のトラブル等の事情も併せ考慮して、公平の見地から、原告の損害全体につき心因的要素による2割の減額を認めた。
交通事故の裁判例判旨
仮に、原告の症状がRSD(CRPS type〈1〉)であったとしても、その発症ないし症状の悪化には心因的要因が強く影響するものと考えられるところ、本件事故は、原告と被告乙山との恋愛関係のトラブルが発端となり生じたものであることから、上記トラブルを原因とする原告の精神的状態が原告の症状に与えた影響は大きいと考えられ、原告の心因的要因がその損害の拡大に寄与しているのであるから、損害賠償額は減額されるべきである。
すなわち、CRPSは、精神的に痛みに弱い人、ヒステリー気質の人、被害意識の強い人に発症しやすく、その発症には心因的要因が深く関与するものと言われている。
原告がヒステリー気味の性格であることは、本件事故のきっかけからも明らかであるし、事故後にも精神的に不安定であったことは診療録からもうかがわれるところである。
さらに、原告の事故当時の診断書では一週間程度の安静加療を要する右膝挫傷というものであり、障害は重篤なものとはいえないものであったことを考え合わせると、原告の心因的要因が原告の症状の悪化、長期化に寄与していることは明らかというべきであるから、損害賠償額は相当程度減額されるべきである。