裁判例集
交通事故の損害賠償の裁判例:東京地裁H13-3-28
交通事故の裁判例
交通事故により被害者の大学入学が1年遅れた場合、就職が1年遅れたことについては休業損害として認められ、賃金センサスの大卒男子20歳から24歳の平均収入とみるべきと判断した。
交通事故の裁判例判旨
原告は、本件交通事故により、平成四年一〇月一日から平成五年二月一四日の期間は慶応義塾大学病院に入院している(甲二の三、四)から、平成五年度の大学入学試験は受験できる状態ではなかったことが認められる。そして、その後も平成五年七月三一日から同年八月七日まで大槻外科病院に(甲二の五)、同年九月一四日から同月二〇日まで稲田登戸病院に(甲二の六)、同月二〇日から同年一一月二八日まで慶應義塾大学病院に(甲二の七)入院し、平成六年四月、大学に入学している(原告本人尋問の結果)ことが認められる。
原告は、受験期間の大部分を入院治療に費やしながら、平成六年四月に大学に入学していることに鑑みれば、平成四年八月一七日の本件交通事故がなければ、平成五年四月に大学に入学していたとみることができる。
よって、原告には、一年間の就職遅れにより休業損害が認められ、その額は賃金センサス平成五年第一巻第一表の大卒二〇歳から二四歳の平均収入三二二万七一〇〇円とみるのが相当である。