裁判例集

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交通事故の損害賠償の裁判例:最判S63-4-21

交通事故の裁判例

交通事故と発生した損害との間に相当因果関係がある場合に、その損害が交通事故のみによって通常発生する程度・範囲を超えるもので、かつ、その損害の拡大について被害者の心因的要因が寄与しているときは、賠償額を定めるにあたって、民法722条2項を類推適用して、その損害の拡大に寄与した被害者の右事情を考慮できる。

交通事故の裁判例判旨

上告人は本件事故により頭頸部軟部組織に損傷を生じ外傷性頭頸部症候群の症状を発するに至つたが、これにとどまらず、上告人の特異な性格、初診医の安静加療約五〇日という常識はずれの診断に対する過剰な反応、本件事故前の受傷及び損害賠償請求の経験、加害者の態度に対する不満等の心理的な要因によつて外傷性神経症を引き起こし、更に長期の療養生活によりその症状が固定化したものと認めるのが相当であり、この上告人の症状のうち頭頸部軟部組織の受傷による外傷性頭頸部症候群の症状が被上告人戸塚の惹起した本件事故と因果関係があることは当然であるが、その後の神経症に基づく症状についても右受傷を契機として発現したもので、その症状の態様からみて、東病院退院後自宅療養を開始したのち約三か月を経過した日、すなわち事故後三年を経過した昭和四七年三月二〇日までに、右各症状に起因して生じた損害については、本件事故との間に相当因果関係があるものというべきであるが、その後生じた分については、本件事故との間に相当因果関係があるものとはいえない。また、右事実関係のもとにおいては、上告人の訴えている右症状のうちには上告人の特異な性格に起因する症状も多く、初診医の診断についても上告人の言動に誘発された一面があり,更に上告人の回復への自発的意欲の欠如等があいまつて、適切さを欠く治療を継続させた結果、症状の悪化とその固定化を招いたと考えられ、このような事情のもとでは、本件事故による受傷及びそれに起因して三年間にわたつて上告人に生じた損害を全部被上告人らに負担させることは公平の理念に照らし相当ではない。すなわち、右損害は本件事故のみによつて通常発生する程度、範囲を超えているものということができ、かつ、その損害の拡大について上告人の心因的要因が寄与していることが明らかであるから、本件の損害賠償の額を定めるに当たつては、民法七二二条二項の過失相殺の規定を類推適用して、その損害の拡大に寄与した上告人の右事情を斟酌することができるものというべきである。そして、前記事実関係のもとでは、事故後昭和四七年三月二〇日までに発生した損害のうちその四割の限度に減額して被上告人らに負担させるのが相当であるとした原審の判断は、結局正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

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