裁判例集
交通事故の損害賠償の裁判例:最判S57-4-27
交通事故の裁判例
共同一体的にダンプカーの運行に関与し、少なくとも運転補助者の役割を果たしたから、ダンプカーの運行につき、自賠法3条にいう「他人」にあたらないと判断した。
交通事故の裁判例判旨
Oは、Iに全面的に服従する関係になく自己の判断でIの提案に同調したものとはいえ、先任者、年長者であり、経験者でもあるIの具体的指示に従ってダンプカーを操作したものであり、Iは、Oといわば共同一体的にダンプカーの運行に関与した者として、少なくとも運転補助者の役割を果たしたものと認められる事情が多分にうかがわれる。そして、自動車損害賠償保障法三条本文にいう「他人」のうちには、当該自動車の運転者及び運転補助者は含まれないと解すべきであるから、本件においても前記事実によれば、IはOのダンプカーの運行について他人に当たらないと解される余地がある。ところが、原審は、右の事情がうかがわれるにもかかわらず、これを十分に顧慮することなく、単にIとOとが命令服従関係にないことをもってOのダンプカーに対するIの他人性を肯認したうえ、右ダンプカーの運行供用者であるKに同条に基づく責任を認めたのであるから、右の点で、原判決は、法令の解釈、適用を誤り、ひいては審理不尽、理由不備の違法を犯したものといわざるをえない。論旨はこの点について理由があり、その余の点について判断するまでもなく、原判決中上告人敗訴部分は破棄を免れない。