裁判例集
交通事故の損害賠償の裁判例:最判S57-1-19
交通事故の裁判例
交通事故の被害者が自動車損害賠償保障法一六条一項に基づき損害賠償額の支払を保険会社に対して直接請求する場合においても、支出した弁護士費用は、事故と相当因果関係に立つ損害である。
交通事故の裁判例判旨
不法行為の被害者が、自己の権利擁護のため訴を提起することを余儀なくされ、訴訟追行を弁護士に委任した場合には、その弁護士費用は、事案の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額の範囲内のものにかぎり、右不法行為と相当因果関係に立つ損害というべきであることは当裁判所の判例とするところであり(最高裁昭和四一年(オ)第二八〇号同四四年二月二七日第一小法廷判決・民集二三巻二号四四一頁)、この理は、被害者が自動車損害賠償保障法一六条一項に基づき保険金額の限度において損害賠償額の支払を保険会社に対して直接請求する場合においても異ならないと解するのが相当である。原審の適法に確定した事実関係及び本件訴訟の経過に照らし、原審の認容した限度で本件交通事故と弁護士費用との相当因果関係を肯認した原審の判断は正当であつて、原判決に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、独自の見解に立つて原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。