裁判例集

一覧へ戻る

交通事故の損害賠償の裁判例:最判S46-7-1

交通事故の裁判例

無断私用運転中の交通事故について所有者に自賠法3条の運行供用者責任が認められた。

交通事故の裁判例判旨

一般に、自動車が修理のために自動車修理業者に預けられている間は、修理業者がその運行を支配すると解されるのであるが、修理を終えた自動車が修理業者から注文者に返還されたときには、特段の事情のないかぎり、その引渡の時以後の運行は注文者の支配下にあるものと解すべきところ、右の確定事実関係によれば、上告人から本件自動車を修理に出すことを依頼されてその前後の管理を一任されていたXが、修理工場から本件自動車を引き取ることをYに指示し、Yの意を受けたZが修理工場に赴き修理業者から本件自動車の引渡を受けたというのであり、本件自動車がZに引き渡されたことは、原判示のように上告人の了解の範囲内のことであつたと解するのが相当であるから、Z、Yらの内心の意図いかんにかかわらず、客観的には、右引渡により上告人が本件自動車の運行に対する支配を取得したものと認めることができる。そして,その後、Zが本件自動車を組合事務所のXの許に届ける予定のもとに、Xに無断で私用のため本件自動車を運転して新潟市から長岡市まで赴いただけでは、いまだ上告人の運行支配が排除されたものとはいえないとした原判決の判断も、正当として是認することができる。
 さらに、論旨は、原判決が運行利益の帰属の有無について判断をしていないことを違法と主張する。しかし、右の確定事実関係によれば、上告人、XおよびZないしYとの間には前示のような関係があり、Zは、上告人のためにするものとして修理業者から本件自動車の引渡を受け、その運行を開始したのであり、前示の事情のもとで私用のため運転したことも、Xひいては上告人に本件自動車を届ける過程における一齣の出来事とみられるのであつて、当時のZの運行を全体として客観的に観察するとき、本件自動車の運行が上告人のためになされていたものと認めることができるのである。原判決も、このような趣旨において、前示事実関係を判示することにより、とくに上告人への運行利益の帰属につき説示することがないとしても、おのずから、これを肯定したものと解することができる。 
 したがつて、前示確定事実関係のもとにおいて、本件事故により被上告人の被つた損害の賠償につき、上告人が自動車損害賠償保障法三条所定の自己のために自動車を運行の用に供する者としての責任を負うべきであるとした原判決の判断は正当であり、原判決の認定判断に所論の違法はなく、したがつて、右判断の違法を前提として原判決の違憲をいう論旨も、その前提を欠くものであつて、論旨は、すべて採用することができない。

弁護士による交通事故の示談・慰謝料増額の無料相談【HOME】へ

一覧へ戻る

  • 交通事故で被害に遭われた方、そのご家族の方へ。
    損害賠償・示談の相談は、無料相談からお問い合わせください。
  • フリーダイヤル0120-980-856
  • 365日24時間いつでも受付中!
    お気軽にお電話ください!

  • 無料ご相談フォームへ