裁判例集

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交通事故の損害賠償の裁判例:名古屋地裁H17-12-21

交通事故の裁判例

被告は加害車両の運転者に同車の所有名義を貸し、その購入資金を調達するための自動車ローンの借主名義を貸しているにすぎず、車両について運行支配及び運行利益を有しておらず、被告は自賠法3条の運行供用者には該当しない。

交通事故の裁判例判旨

(1)加害車両は、平成一三年八月三日発生した本件事故により、廃車になった(《証拠略》)。
(2)被告は、平成一一年ころ、Hと同棲を始めたが、その後も同人には複数の女性関係があり、平成一三年四月ころ、同棲を解消し、間もなく被告の実家に戻って暮らすようになった。
(3)被告は、Hと同棲中の平成一三年一月ころ、同人が加害車両を購入するに当たって、名義を貸してくれるように頼まれ、これを承諾した。同人は、金融関係のブラックリストに載っており、H名義では、自動車ローンが組めなかったので、同棲中の被告に名義貸しを依頼したものである。加害車両は、フォードのマスタングという外車の中古車であり、Hは、転売して利益を得ようとしたが、本件事故日まで、転売は実現せず、自分が乗り回して、使用していた。
(4)名義上、加害車両の買主名義人となった被告は、自動車ローンの借主名義人とならざるを得ず、支払総額一五四万三二七六円を銀行預金口座引落しの方法により月払いで支払う旨のローン契約を締結した。銀行預金口座は、被告の旧姓である「HM(ヘイヤママツコ)」名義であった。初回は、平成一三年一月二九日に四万五二七六円を引落し、以後は毎月二七日に四万二八〇〇円を支払い、最終支払日が平成一五年一二月二九日となる約定であった。現在、ローンは完済されている。
(5)被告は、Hが持参した書類等に署名等をしただけで、契約の現場に立ち会っていない。車の受取りも同人が行った。同人は、自己が賃貸借契約を結んでいたマンションの駐車場に加害車両を置いて保管しており、被告は、その保管に一切関与しなかった。
(6)Hが前所有者から加害車両の引渡しを受けたあと、本件事故が発生するまで、同人以外に加害車両を運転する者はなかった。被告は、一度も加害車両を運転したことがなかった。被告は、一、二度、加害車両に同乗したことがあるが、自分が日ごろ運転して使用するのは、自分の実家の自動車であった。
(7)ガソリン代等の加害車両にかかる諸費用は、Hが一切を負担し、これについて被告は全く何の支払もしていない。
(8)自賠責保険の保険料は、Hが引渡しを受ける以前に加害車両を有していたことのある「O」が支払った。事故証明書に記載の加害車両に付された自賠責保険の証明書番号《略》は、原告へ後遺障害保険金を支払った旨を知らせる案内書に記載の証明書番号と一致し、その契約者名は「O」となっている(《証拠略》)。
(9)加害車両に任意保険は付されていなかった。
(10)上記自動車ローンは,被告名義の銀行預金口座から毎月引落しの方法で支払われていたが、Hは、初回以来、本件事故後しばらく経過するまで、引落しに必要な資金を同預金口座に振り込むか、被告に手渡しする方法で、被告に対して提供し続けており、
この間、実質的にローン返済資金を負担していた。このようなHによるローンの実質的負担の実行は、本件事故発生から約半年を経過した平成一四年二月ころまで続いていた。同人がローン月額の負担をしなくなったのは、同人との関係をできる限り断ち切りたいと考えた被告が、携帯電話の番号を変更して、同人が被告に連絡を取れないようにしたのがきっかけとなった。その後は、被告の負担でローンの支払を続け、完済したものである。
(11)被告がHと同棲を解消した平成一三年四月ころ、これと相前後して、同人と原告との交際が始まった。本件事故の発生するころまでに、二人の付合いは、結婚を前提とするまでに深まっていた。本件事故発生時点において、Hが加害車両を運転し、原告は加害車両に同乗していた。 
 以上の事実が認められる。この認定事実によれば、被告は、Hに対し、加害車両の所有名義を貸し、その購入資金を調達するための自動車ローンの借主名義を貸しているにすぎず、加害車両について、運行支配を有しておらず、運行利益も有していないというべきである。
 被告は、平成一四年三月ころから、上記自動車ローンの分割払を実質的に負担し、ローンを完済しているが、被告の実質的な負担による支払は、本件事故発生から約半年を経過したのち、Hが被告に対する支払資金の提供を停止したためにやむを得ず実行したにすぎないから、被告が本件事故後しばらくしてローン支払を実質的に負担するようになった事実は、本件事故発生当時、被告が加害車両に対して運行支配及び運行利益を有していなかった旨の上記判断を左右しない。
 したがって、被告は、自賠法三条の定める運行供用者には該当せず、本件事故により原告が被った損害を賠償すべき義務を負担しない。

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