裁判例集

一覧へ戻る

交通事故の損害賠償の裁判例:名古屋地裁H19-11-21

交通事故の裁判例

交通事故によりPTSDを発症したという主張は認めず、うつ状態となったとの主張については、交通事故との相当因果関係を認めた。

交通事故の裁判例判旨

ア 証拠(甲五ないし七、二一ないし三三〈枝番を含む。以下同じ〉、三五、三七、三八、四〇、四二、四三、四五ないし五一、証人K)によれば、以下の事実が認められる。
 原告は、H病院神経科心療科精神科に、平成一四年二月六日から、うつ状態及び心的外傷後ストレス障害で通院加療中であり、平成一四年八月一六日、同病院で「うつ状態および心的外傷後ストレス障害」の診断を受け(甲五)、同病院医師I作成の自動車損害賠償責任共済後遺障害診断書の症状名も「うつ状態および心的外傷後ストレス障害」となっており(甲六、七)、自覚症状として、「不眠。食欲不振。車や横断歩道が恐い。外を歩く時緊張する。」と記載されている。症状固定日は、平成一五年九月五日となっている(甲七)。
 原告に交付された保健福祉手帳では、平成一七年六月二三日に三級の(甲三三)、平成一九年六月三〇日の更新時点では二級の認定を受けている(甲五〇)。
 全国共済農業協同組合連合会での後遺障害等級認定で、うつ状態及び心的外傷後ストレス障害により残存した不眠、食欲不振、車や横断歩道が怖い等との訴えにつき一四級一〇号の認定を受けている(甲三二、甲三五の二)。
 原告は、現在、仕事ができず、部屋にこもりきりで昼夜逆転した生活を送っており、自殺のため東尋坊(福井県)に出かけたりするなど、自殺念慮が見られる。また、半田病院に何度か緊急搬送されている。
イ そこで、検討するに、まず、原告が心的外傷後ストレス障害(PTSD)であるかどうかの点について検討する。
 証拠(甲八ないし一〇〈枝番を含む〉)によれば、本件事故は、原告が自転車を押して横断歩道を渡っていたとき、右折してきた被告車が自転車に衝突し、自転車と共に原告が倒れたこと、被告車は時速一五ないし二〇キロメートルであり、衝突地点から約六・五メートル手前で急ブレーキをかけたこと、原告は、衝突地点から約三・五メートル離れた地点で倒れていたことが認められる。原告は、原告が水路に転落する恐れがあったと主張するが、原告は現実に転落はしておらず、かかる前提を採ることはできない。
 そして、本件事故の態様に照らすと、本件事故が原告にとって、いわゆるDSM―〈4〉の基準Aの「実際にまたは危うく死にそうになったり大けがをしそうになったりする出来事」と認めることは難しい。したがって原告が心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症しているとすることはできない。
 しかし、うつ状態については前記認定のとおり診断書もあり、原告の症状に照らすと、特にこれを否定する事情はない。
 そして、原告の現在の状況は、前記認定のとおりであり、本件事故とH病院でのうつ状態の治療開始までに五か月弱の間があるものの、その間本件事故による傷害のための治療が続いており、原告は痛みが続き、そのために眠れないことが多かったこと(甲三〇)、本件事故以前に原告に心因的症状はなく、本件事故後前記症状が現れていることを考えると、うつ状態については本件事故が契機となったものと認められ、原告の現在のうつ状態と本件事故との間に相当因果関係を認めるのが相当である。

弁護士による交通事故の示談・慰謝料増額の無料相談【HOME】へ

一覧へ戻る

  • 交通事故で被害に遭われた方、そのご家族の方へ。
    損害賠償・示談の相談は、無料相談からお問い合わせください。
  • フリーダイヤル0120-980-856
  • 365日24時間いつでも受付中!
    お気軽にお電話ください!

  • 無料ご相談フォームへ