裁判例集
交通事故の損害賠償の裁判例:名古屋地裁H17-8-24
交通事故の裁判例
内縁関係の日本人男性との間の子を養育するために日本に永住する意思を有していたフィリピン人女性が交通事故により死亡した場合に、死亡時の日本における女子労働者の平均賃金を基礎収入として逸失利益を算定した。
交通事故の裁判例判旨
(ア) Cは死亡時三四歳の専業主婦である。
(イ) Cは、外国人であり、未だ永住資格を取得する前に、本件事故により死亡した。
しかし、Cは、内縁関係にあった日本人男性のXとの間に子のDが生まれ、Xは、平成三年一〇月八日、その子を認知した。
上記認知は、生後認知であるため、Dは、出生と同時に日本国籍を取得することはないが、将来、帰化する蓋然性は高い。
Cは、Dを養育するために、日本に永住する意思を有していた。
この事実によれば、Cは、本件事故がなければ、子のDの養育のために、日本に永住する意思を有しており、それが実現する可能性がかなりあったことが認められる。
そこで、Cの死亡による逸失利益は、死亡時の日本における平均賃金を基礎に算出するのが相当である。