裁判例集

一覧へ戻る

交通事故の損害賠償の裁判例:佐賀地裁S60-7-16

交通事故の裁判例

未成年の運転者(19才、家出中、定職あり)が自ら購入した車により交通事故を起こしたことにつき、右加害者の両親には本件事故と相当因果関係がある監督義務違反はないと判断された。

交通事故に係る裁判例判旨

被告Xは、昭和五六年五月自動車の運転免許を取り、その費用は両親が負担し、通勤用にと自動車を買い与えたがそれはあまり使用せず、昭和五七年一二月初めごろ知人から普通乗用自動車一台を代金五四万円で買受けて乗つていたが、これが本件A車である。被告Xは本件事故前に四回の道交法違反でつかまつたことがあるが、それは昭和五六年七月ごろ原付自転車の二人乗りと昭和五七年二月までの間に三回初心者マークをつけていなかつたことによるものである。 
ところで、責任能力ある未成年者(被告Xは当時一九歳一〇か月余であつて責任能力のあることは明らかである)の監督義務者については民法七一四条による責任は認められないが、監督上の義務違反と未成年者の不法行為によつて生じた損害の発生との間に相当因果関係がある場合は右監督義務者も民法七〇九条に基づき損害賠償責任を負うものと解すべきである。しかし右義務違反と損害の発生との間に相当因果関係を認めるためには、監督義務者が相当の監督をすれば加害行為の発生が防止できたこと、その監督を現実になしえたこと、監督せずに放任しておけば加害行為の発生する蓋然性が高いこと、などの要件を充足する必要がある、と解するのが相当である。そこで本件についてみると、前記認定事実のうち1の被告Xが高校卒業後放縦な生活態度であつた事実は本件交通事故と直接の結びつきが認めがたく、仮に被告A、同Bにこれを放任していた事実があつたとしても、これにより本件交通事故の発生の高度の蓋然性が生じたとは認めがたい。また前記認定の2の事実のうち、右被告両名が被告Xの運転免許取得費用を負担し、自動車を買い与えていたこと、同被告を夜間の自動車運転から遠ざけるよう監督指導しなかつたことについては、同被告は高校卒業後就職して社会人となつており、一般に広く自動車が普及し、通勤やレジヤー等に使用されていることは公知の事実であり、夜間運転により交通事故の発生の蓋然性がとくに高くなるともいえないことなどからすれば、とくに同女が無免許で運転技術が未熟であるとか、夜間に暴走等の無謀運転をするとか、当然に交通事故の発生の高度の蓋然性が予測されるような特段の事情がないかぎり(同女の交通違反は単車の二人乗りとか初心者マークをつけていなかつたとかであつて、とくに交通事故の発生を予測させるようなものではなかつた)、同女の自動車運転を制止すべき監督義務はないといわなければならない。他に本件交通事故と相当因果関係ある監督義務違反のあつたことを認めるに足る証拠はない。よつて右義務違反に基づく被告A、同Bに対する請求はその余の点を判断するまでもなく理由がない。

弁護士による交通事故の示談・慰謝料増額の無料相談【HOME】へ

一覧へ戻る

  • 交通事故で被害に遭われた方、そのご家族の方へ。
    損害賠償・示談の相談は、無料相談からお問い合わせください。
  • フリーダイヤル0120-980-856
  • 365日24時間いつでも受付中!
    お気軽にお電話ください!

  • 無料ご相談フォームへ